こんにちは、RTです。
私がここ5年ほど、一番尊敬し、何度も救われているアーティストがドレスコーズ。このバンドについては早く記事を書かないとと思っているのだけど、あまりに書かないといけないことが多すぎて、手をつけられないでいる。しかし、大ファンだと言っておきながら、なぜか聴き漏らしていたディスクがあった。それをここ最近聴いているというお話。
それが本記事のタイトルでもある「Hippies E.P.」。
発売は2014年。ドレスコーズはこのEPをもってボーカルの志磨遼平を除くメンバーが脱退。あれ、こんな大事なディスクをなぜ聴いていなかったのだろう。。。
そもそも、私と志磨遼平の出会いは、またちゃんと書こうと思うが、志磨遼平の前身バンドである毛皮のマリーズが2008年に発売した「Faust C.D.」だった。このEPの導入曲でもある「おはようミカ」のイントロの鋭いギターリフに心を奪われた。当時の私は高校生だったのだけど、「日本にこんな音を出すバンドがあったのか」と感動した。
しかし、その後メジャーデビューして解散する2011年に向け、バンドの空気が大きく変わっていくことに気づき、大好きだったパンクバンドたる毛皮のマリーズが壊れていくと当時は感じて、急激に志磨遼平から離れていったということがあった。
なお、これについてはファンに復帰した現在の私からすれば、ロックという既成概念にとらわれず、自分が心に描いた音楽の追及を、手にした立ち位置や場合によっては得た仲間を手放しても続けた、志磨遼平の歩いた道の一部だったとよくわかるし、今聴き直せばマリーズ後期にも、すごく心に響く良曲が多い。ただひたすらに、私自身が出会った頃、マリーズに感じた衝動、そのイメージが強すぎて、それを手放せずにいただけだった。
それから、志磨遼平がドレスコーズを結成し、私もそれをたまに思いついて聴いてはいたのだが、やはり「おはようミカ」や「ビューティフル」、「恋をこえろ」など好きだった曲の呪縛から離れられず、「これじゃないんだよなあ」と思っていた。
それに、さっき記事の後ろに張り付けた「Ghost」のMVを観ていて思い出したのだけど、初期ドレスコーズはバンドのビジュアルとしても落ち着きすぎていて嫌だと思っていた。私の好きだった毛皮のマリーズは、もっとバカみたいで、そのなかで志磨遼平は存分に自分の才能を表出させていて、要するにその青春くささが好きだったんだと思う。
それが、初期ドレスコーズは全体として完成した雰囲気でとてもクール。そんな雰囲気が受け入れられなかったんだと思う。
もちろん、今となってはドレスコーズの全時期の全曲が好きだ。これについては、また別記事を書こう。
それで、私が改めてドレスコーズ・志磨遼平に強く惹かれるようになったのは、今となっては全てのアルバムが好きなものだからいつごろかはっきりさせるのは難しいのだが、おそらくアルバム「Audition」のあたりからだったと思う。これが2015年発売。すでに志磨遼平は固定のバンドというスタイルを手放していた。
と、ここまでが、私が「Hippies E.P.」をちゃんと聴いていなかった言い訳である。存在は知ってたけど、フルアルバムじゃないからちゃんと聴かなくてもいいやと、誠に愚かだったと思う。ファンの風上にも風下にも置けない。
ちなみにMVも作成されている「Ghost」は聴いていたのだけど、これも、結局聴いた当時はストレートなロックに重きを置きすぎていてその良さを理解していなかった。その後もあんまりちゃんと聴いていなかった気がするのだけど、今更、そう本当に今更、良さを痛感している今日この頃だ。
Ghostというタイトル、低音のボーカルで始まり一番サビから志磨遼平自身によるオクターブのコーラスが入るという演出。すごく印象的。楽器陣も幻想的に曲を彩っている。
このEPは□□□(クチロロ)の三浦康嗣が多くの曲にアレンジャーとして参加している。ディスク全体的として、それまで志磨が表現してきたロック音楽ではなく、ダンスミュージックの形式をとっている。
音楽ナタリー 2014年8月 「ドレスコーズ「Hippies E.P.」特集 志磨遼平インタビュー&セルフライナーノーツ」
この点なんだろうな。私がはまらなかったのは。結局、さっき上にあげた「Audition」も、「スローガン」や「贅沢とユーモア」のように、バンド形式の名曲が並んでいて、私にとって、やっぱりバンドとしてのかっこよさというのが一番はまりやすいのだと思う。とりあえず下に「スローガン」のMVを貼っておく。本当は「贅沢とユーモア」を貼ろうとも思ったのだが、この曲については好きすぎて、今日の「Hippies E.P.を聴いている」という主題から離れるので、我慢する。近いうちにちゃんと書きます。
Hippies E.P.は5曲構成となっている。
表題曲「ヒッピーズ」は、今年2020年4月に発売した志磨遼平のメジャーデビュー10周年記念ベストアルバム「ID10+」のDisc “RIOT”にも収録されており、私はそこで、「あれ、この曲って。。。」となって慌ててここに至った次第である。
「ドゥー・ダー・ダムン・ディスコ」の狂気や「メロディ」の哀愁あるラップ、「若者たち」の気だるさ、全体を通して鳴らされる4つ打ちのドラムに、電子楽器やホーンの音色、統一的な空気感が心地よいと思う。
こうやって、私にはまだまだまだまだ、聴き洩らしたディスクが山ほどあるのだろうなあ。